単身の高齢者世帯が急増している中、世のニーズに応えるために「高齢者見守りサービス」も同様に増加しています。
高齢者見守りサービスには複数の種類・形態があるのですが、その1つに「高齢者見守りアプリ」があります。
今回は「一人暮らしの高齢者向け見守り・安否確認アプリの種類と選び方」に焦点を当て、説明していきます。
一人暮らしの高齢者向け見守りスマホアプリの種類と比較
見守りアプリの種類
高齢者向け見守りアプリは大きく分けると、以下の4種類存在します。
種類 | 概要 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
①安否確認アプリ | 無事かどうか確認 | 孤独死を防ぐ | 万一の事態を即座には把握できない |
②位置情報確認アプリ | 高齢者の位置情報を確認 | 徘徊や行方不明を防止 | 高齢者が常にスマホや機器を携帯する必要アリ |
③緊急時通報アプリ | 緊急を知らせる | 万一の時、緊急事態を検知できる | 一刻を争うので、万一の場合、誰かが即座に駆けつける必要あり |
④生活状況把握アプリ | 日々の健康や活動を記録 | 日々の変化に気づきやすい | あくまで事前予防目的にしかならない |
最近は、4種類の中のいくつかを組み合わせた「多機能・複合型アプリ」が主流です。
各アプリの機能の比較
安否確認アプリ
- アプリ内のボタンを高齢者本人がタップし、平常通り暮らしていることを知らせる。(※1)
- 高齢者が携帯を使用すると、家族に通知が発信されるものもある。
- 一定期間アプリや携帯の使用がない場合、家族などに自動で通知される。
(※1)操作頻度は個別に設定可能(毎日、2日に1回、1週間に1回など)
高齢者の生活スタイルに合わせて使用できます。事故などを比較的早期に発見できます。
よく「孤独死防止アプリ」ともいわれますが、定期的なアプリの使用で命の危険がないかを確認します。誰にも見つかることなく、ひとりで亡くなることを防ぐことができます。
位置情報確認アプリ
- GPS付きスマホで、高齢者の位置情報を地図で表示できる。
携帯を所持できる高齢者に有効で、軽度の認知症高齢者の迷子防止などに使用されることが多いです。
ただし、常に携帯する必要があり、携帯していない場合は全く役に立たない点は注意が必要です。
緊急時通報アプリ
- 事前に「名前」「住所」「GPS発信」などの登録を行う➡万一の時、高齢者自身がボタンを押すだけで緊急通報ができる。
- 心停止や強い衝撃を感知すると自動で緊急通報を行うものもある(アップルウォッチなどスマートウォッチ等と連携必要)
第三者に緊急事態を知らせるアプリです。万が一に備えた「最後の砦となるアプリ」と言えるでしょう。
生活状況把握アプリ
- アプリ上で、高齢者本人が生活の記録(日記)を行う(※2)
- 高齢者が記録したものを、アプリ使用者全員で共有できる。
(※2)食事量、血圧、体温、起床時間や入浴時間など。その日の気分や日記。
安否確認と連動して使用されることが多いです。健康状態を家族に知ってもらえます。
複数の人が、同じ記録を見ることでコミュニケーションが増えることが期待できます。
記録内容から、ささいな異常を発見できるケースもあり、通院するきっかけにもなるケースも。
スマホ操作が必要なので、操作が難しいと感じる高齢者もいます。
高齢者見守りスマホアプリの選び方
アプリ選びをする前に
スマートフォン上で使用するため「高齢者がスマートフォンを使える」ことが大前提です。
年齢問わず「スマホ操作ができること」を確認してからアプリ探しをはじめましょう。
- 充電できるかどうか?
- スマホを携帯して外出できるかどうか?
- 高齢者本人がスマホ持つ意味、操作を理解しているかどうか?
スマートフォンを使うことができても、高齢者本人がアプリの使用を嫌がる場合は無理させないことです。高齢者本人の気持ちを尊重してください。
見守りアプリだけで完結させようとしない
見守りアプリは、あくまで「補助的な位置づけ」です。
すべてをアプリで完結させようとすると、かえって複雑になるので注意が必要です。
- 家族や地域で行う見守り
- 行政や民間サービスを利用した見守り
- 見守りアプリを活用しての見守り
- 緊急時の対処方法
この4つを高齢者の見守りの柱として考え、アプリだけに頼らず、他のサービスも活用しバランスの良い見守り体制を築きましょう。
アプリを使う目的をはっきりさせる
- 孤独死の防止 ⇒ 安否確認アプリ
- 持病などあり一人暮らしは心配 ⇒ 安否確認アプリ、生活状況把握アプリ
- 少し認知症の気配が ⇒ 位置情報確認アプリ
- 万が一倒れた場合、すぐに気が付きたい ⇒ 緊急時通報サービス
例を、いくつかあげてみました。
なんのためにアプリを使うのか?まず目的を明確にして、目的にあったアプリを選ぶことが大切です。
操作が簡単なアプリを選ぶ
スマホを始めて触る高齢者の場合は「タップするだけ」といった簡単に操作できるものを導入しましょう。
まず、スマホやアプリに慣れることからはじめると良いでしょう。
おすすめは?無料の高齢者見守りアプリ紹介(android・IOS別)
数ある見守りアプリの中から、いくつか条件を絞ってご紹介したいと思います。
- スマートフォンとアプリだけで完結できる。
- シンプルであること。簡単であること。
- 利用料が無料であること。
安否確認アプリ
みまもりサービス(みまもる)(android、IOS対応)
ソフトバンクが開発したアプリです。携帯会社開発しただけあって、操作性が良く使いやすいと評判です。
特徴は、一度登録してしまえば高齢者が操作することが無く、非常にシンプルである点。
携帯の動き「充電」「通話」「携帯の動き」を感知して、動きの記録がアプリに記録されます。記録を家族で共有可能です。
おすすめしたい人:携帯の操作が苦手な人。携帯を持つ習慣がある人。
- 無料で使える機能は「充電」「通話」「携帯の動き」を通知するまで
- 携帯を持つ習慣がない高齢者には不向きです。(アプリを触らないため、習慣にすることができない)
あんしん365(androidのみ対応)サービス終了
決められた時間に、スマートフォンのアラームが鳴り画面をタップするように高齢者を促します。高齢者が画面をタップすると、家族にメールでお知らせが届くシステム。
非常にシンプルで簡単ですが、家族へ送信されるメールに高齢者の位置情報が記載される為、安全確認の信用が高い。
おすすめしたい人:高齢者全般。キーボードで打ち込む作業が苦手な人。
- 得られる情報が少ない。
- Androidのみ対応
LINE見守りサービス エンリッチ(android、IOS対応)
日々の安否確認を「LINE」と「本人」だけで行います。
LINEからの安否確認に応答がなければ、高齢者ご本人に電話が入ります。
電話にも応答がなかった時、あらかじめ登録しておいた家族へ連絡が行くシステムです。
おすすめしたい人:ひとり世帯の高齢者。親戚が少ない、もしくは関わりが希薄な人。
見守る側が、知らない間に解約したり設定が変更されていることに気づきにくい。
リンクプラス(android、IOS対応)
自分に「もしも」のことがあったらを前提に作られたアプリです。
基本的には、高齢者本人がスマホで登録を行い、日々の安否確認をアプリで本人が行います。一定時間アプリ上で安否確認ができなかった場合、あらかじめ登録しておいた連絡先に通知が届くシステムです。
おすすめしたい人:ひとり世帯の高齢者。親戚が少ない、もしくは関わりが希薄な人。
- 使い方は簡単ですが、使う前の登録がいくつかある。(※1)
- 設定が変更されても、連絡を受け取る側がわからない。
(※1)「連絡先」「連絡したい内容」「安否確認の時間」などの登録があります
位置情報確認アプリ
Life360(android、IOS対応)利用料無料
元々は子供の見守りアプリとして開発されたものですが、「緊急ボタン(ヘルプアラート)」というボタンをタップすると登録家族全員に位置情報が通知されます。
その他にも、設定した範囲内にいる時に通知が届くなどいくつか機能があります。登録してしまえば、自動通知が複数あることから非常に効果的で簡単です。
おすすめしたい人:認知症の兆しがある高齢者。活動範囲の広い高齢者(車や自転車の運転など)旅行をする高齢者。
GPS機能を使用するため、スマートフォンの電池の消耗が早い。
緊急時通報アプリ
みまもりシリーズ「緊急ボタン/いまここ」(androidのみ対応)
みまもりステーションから出た、とにかく簡単なアプリです。
「緊急ボタン」をダウンロードするとホーム画面に「緊急」というアプリができます。(いまここボタンも同様です)
一目でわかり、ボタンを押すとあらかじめ登録しておいた連絡先に位置情報と電話で連絡が届きます。
おすすめしたい人:高齢者全般。
android版しか提供されていない。(IOSは順次提供予定)
ラクホン(android、IOS対応)
ダウンロードすると、ロック画面やホーム画面を専用画面にできます。
緊急通報ボタンや緊急連絡先をわかりやすく表示できるようになります。
ボタンには緊急ブザーもあるため、すぐに助けが必要なときにも活用できます。
おすすめしたい人:高齢者全般。
「緊急通報ボタン」「緊急メール」「緊急連絡先」と緊急表示が複数あり、使い分けが必要。
生活状況把握アプリ
お元気ですか(androidのみ対応)利用料無料
とにかく簡単です。
連絡したい連絡先(アドレスか電話番号)とアラーム時間の2つだけ設定すると完了です。アプリを開いてすぐ8枚のパネルがあります。
その中から、その時の体調や環境にあったものを4枚選んで送信して終わりです。
おすすめしたい人:高齢者全般。持病がある。自宅療養中など。
大まかな日頃の状況しかわからない。
【※要確認※】高齢者向けスマホ見守りアプリの課題・デメリット
高齢者向け見守りアプリの課題・デメリットは・・・?
ズバリ、それは
緊急事態発生時でも、誰かが駆けつけて対処してくれるわけではない。
これは非常に重要なことです。
「万が一の事態発生」のお知らせが届いたとしても、高齢者宅の近所に頼れる隣人などがいなければ、即座に救助することができないのです。
発見が遅れる「孤独死」などは防止できるかもしれませんが、救助することは現実的に難しい。という課題が残ります。
よって、万が一の事態に備えて誰かが駆けつける体制を作ることが非常に重要です。
近隣に「即座に行動してくれる頼れる人」がいない場合は、警備会社が提供する高齢者向けの駆けつけサービスを利用するのも1つの手です。
セコム社・アルソック社大手2社のサービスについて、以下の記事で詳しく比較しているので参考になさってください。
終
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